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2018/03/02

最近の経営雑感/美容師の給与を上げ、労働時間を減らすためには?



こんにちは関山です。




すみません。ブログずいぶん書かずに。。





さて近況ですが、今月から営業時間を短縮しました。




金曜日の営業時間を1時間短縮し、土曜日の勤務シフトを変え労働時間を減らしました。


スタッフの負担を軽減し、労働環境を良くすることが狙いです。



過去の予約分布を分析した結果、1日の中で予約があまり入っていない時間帯があることがわかってきました。


その時間を削ったりシフトで対応することにしました。


今後もさらに労働時間を減らしていく方向で考えています。






さて、タイトルの「美容師の給与を上げ、労働時間をいかに減らせるか?」ですが。



「今日から給与をアップし、労働時間を減らしましょう」


と言ってすぐに条件を良くできるほど簡単ではないのは誰でもわかる事だと思います笑



給与なり労働環境を良くしていくためには様々な条件をクリアしていかなくてはいけない。



今のところ僕が思う改善のために必要な視点は以下の3点です。




 


①生産性と給与水準の関係を理解する


②スタッフに長く働いてもらうための条件を理解する


③業界の未来予測




今回は上記3点について僕の見解を書きたいと思います。








 


①【生産性と給与水準の関係を理解する】


 



以前SOCO/AOの一人当たりの生産性について書きました。


 


一人当たり生産性100万突破〜美容室における生産性とは何か〜


 


 



「生産性」は労働条件(給与・労働時間)を改善するタイミングを見極める指標として比較的わかりやすい数字だと思います。




一人当たり生産性と美容業界での予測年収構造は以下の通り。




○一人当たり月間生産性55万=年収平均288万(社会保険加入)


○一人当たり月間生産性63万=年収平均288万(社会保険加入)


一人当たり月間生産性74万=年収平均345万


○一人当たり月間生産性83万=年収平均390万


○一人当たり月間生産性105万=年収平均500万


 


 



生産性55万だと社会保険加入すら難しく、生産性63万でやっと社会保険に加入できる水準。


生産性83万で一般の中小企業と同じ水準。


生産性100万を超えて大企業と同じくらいの給与水準になる。



この水準を見て分かる通り、一人当たり生産性55万のサロンが給与を上げたり労働条件を改善することは現実的に難しいのです。


無理に条件を良くしようとすると会社が潰れかねない。



生産性は単月で見ると高い月もあれば低い月もあります。


12月、3月、7月は繁忙期なので上がりやすいですが、その他の月は下がりやすい。


四半期・1年通してどれくらいの生産性なのかを判断することが必要です。




大まかな生産性と業界の給与水準がわかれば「生産性がこれくらいになれば、社会保険に入り給与はこれくらい上げれるかな」「スタッフをこれくらい増やさなくてはいけないな」という判断がある程度つきます。






②【スタッフに定着してもらうための条件を理解する】




一人当たり55万の生産性では給与を上げることは難しいことは上記の通りです。



給与を上げるにも労働条件を改善するにも、


まずは売上を伸ばさなくては話にならないわけです。


 


集客を増やし売上を上げる事。


お客様にリピートしてもらい継続して通っていただく事。


さらにスタイリストがより多くのお客様を担当できるようにスタッフを採用し、採用したスタッフが定着してくれないと売上や生産性は伸ばせません。



「スタッフが定着してくれる」ことは事業を伸ばすための必須条件です。



ではどうしたら人は働き続けようと思うのか?



人それぞれ「働き続けたい」と思う理由は様々あるでしょう。



「給与」


「労働時間・条件」


「スキル・キャリアアップが見込める」



あたりがすぐに思いつく働き続けたいと思う基本的な動機ではないでしょうか。


これは今回のブログタイトルとほぼ一緒です。


スタッフに定着してもらい、売上をさらに伸ばすために労働条件を改善する必要があるのです。





我々は技術職であり職人的な価値観の業界でもあります。


「美容師だから労働時間は長くてあたり前」「修行時期だから給与は低くて当たり前」という「昔ながらの価値観」が少なからず残っています。


僕自身まだそういった慣習が残っていた時代に美容師のキャリアを積んできたので、それもそうだな。と思う部分もあります。



しかし、時代とともに旧来の価値観は決壊しつつあります。



同じ労働量でも他店と比べて給与が低かったり、労働時間が長かったり、長期的なキャリアアップが見込めないと「転職したほうがいいのではないか?」と考えるのは当たり前です。(本人の能力や実績以上に給与を支払う必要はありませんが)




スタッフの定着のためには各種条件を改善することが必要です。


時代とともに労働条件改善の圧力はどんどん強くなっています。


しかし、慣習やプライドに阻まれ、なかなか変えられない会社が多いのも事実。


過去の慣習と決別し、どうしたらスタッフに長く働き続けてもらえるか?を考え理解することが重要です。




(※とはいえ練習時間が多い人の方が技術上達は早いのは当然で、通常の働き方より頑張った人の方がキャリアを伸ばすスピードが早くなるのも当然です。これは美容師に限らずどの業界でも同じです。本人の努力で結果を出し業績を挙げ給与を伸ばす事は競争原理の根幹です。問題なのは働き方を会社が押し付けるか否かだと考えています)






③【業界の今後を予測する】




さて、「業界の生産性と年収構造」「スタッフに定着してもらうためには?」という視点を述べた上で。



「各種労働条件の水準を上げるためには小規模サロンでは難しい」というのが僕の考えです。




業界の統計では美容室の軒数はずっと右肩上がりで増えています。


店自体は増えていますが、1店舗あたりのスタッフ数は昔より減り、今は全国平均で1店舗あたり2人くらいだそうです。


美容師自体も微増してはいますが、美容学校入学者は減り、今後減少することが予想されている。


これからの時代、人材を確保する事はより難しくなる。


 


 


生産性をベースに給与や労働条件を考えたときに、小規模サロンだとスタッフを一人採用した場合、一人当たりの生産性は一気に下がります。


そうなると経営者はなかなか給与を上げたり労働条件を改善することに着手できないでしょう。


むしろ有事に備え利益をストックしておきたいと考える。


=結果給与は増えない。



 


また、「営業時間」と「売上」は相関的であり、特にホットペッパーなどで広告を打っているサロンは営業時間が長ければ長いほど予約が入る確率は上がります。


ということは労働時間を短くするために営業時間を減らせば単純に売り上げは減ります。


売上が減ると給与を増やす事はさらに難しくなる。


勤務時間が長いほうが売上は上がる。反面、労働時間は長くなり、負担は増え、スタッフの働きやすさの満足度は下がる。


スタッフ数が多ければシフト制などで営業時間を変えずに労働時間の短縮などを目指せるが、小規模サロンだと難しい。


=結果労働時間は減らない。




僕が事業の拡大を目指す理由の一つが、生産性の変動リスクを抑えて安定した経営を目指すのであれば、それなりに規模が大きくならないと変数が大きすぎて給与・労務改善に踏み切ることが難しいと思っているからです。


そして今後、美容師が減るにも関わらず美容室軒数が増え続けるのであれば、労働条件が悪く人を採用できない美容室はどんどん淘汰される「美容室大淘汰時代」が訪れるのではないかと思っています。







【ジレンマを理解しつつ、組織の未来をどう設計していくか】





さて、ざっくり雑に考えを並べてみてしましたが。


「給与アップ」も「労働条件改善」も「スタッフの定着」も「売上の上昇」も「事業規模の拡大」も全て相関関係にあるわけです。


どれか一つが独立して成立しているわけではなく、複合的に関係する多面的な条件です。


全てを同時並行的に進めることが理想ですが、多くのサロンでは何かしらの条件が足りない部分の方が多いでしょう。ウチもそうです。


マネジメントの仕方はお店の状況やスタッフのモチベーション、集客状況、今後の展開の有無などで変わってきます。


スタッフを増やし売上を伸ばさなければ給与は上げられないし、労働時間を減らすことは難しい。


スタッフが定着しなければ店を増やすなど、次の展開は怖くてできない。




そういった前提を踏まえ、スタッフに現状を説明し


「我々は今この水準であり、今後こうなればみんなの給与や労働条件はこうなる」


という未来予想を説明することが組織トップの役割の一つです。





とにかく、給与を上げ労働時間を減らすためには会社の業績を伸ばすことが前提。


短期的には仕事がハードになったとしても、長期的にはより良い条件で働けるようになるというビジョンを示す事。


より良い未来が待っているのであれば、理解し協力してもらう事は可能だと考えています。


 


 


手を打たないと現状維持か下降しかないので、問題点を分析し、何が問題なのか一つ一つ明らかににすること。そして改善の優先順位を明確にし、すぐ実行すること。



集客が伸びないのであれば、伸ばすためのマーケティングを考え、広告を打っているのであればPVを分析してコンテンツをブラッシュアップするとか。


個人の売上が伸びないのであればリピート分析しスタッフの技術・接客などの教育に力を入れるとか。


やりがいを醸成できないのであればクリエイティブのコンテンツ作りに注力するとか。


採用が弱いのであればブランディングを強化し、労働体系やキャリアプランを提示し、リリースするとか。



やるべきプランはいくらでもあります。




改善をコツコツ行い、顧客に支持され、売上が伸び、条件が整った先にようやく業界水準以上の給与・勤務体制が視野に入ってきます。



話は至極当たり前のことではあるのですが、実行・改革できる会社は多くない。







【最後に】



年始から人事・採用のテコ入れと共に、労働環境や、給与アップを推し進めてきました。


SOCO/AOとしてはこれからも生産性を上げ、労働時間を減らし、給与を上げていく方法を模索したいと思います。



何かを変えることはリスクを伴います。


とはいえ、何も変えないことは大きなリスクです。


中でも時代の要請に対して体制を変えられないことは最も大きなリスクです。


なぜなら時代の変化に対応できない組織は消えていくことを歴史が証明しているからです。



できることなら、正しい変化を選びたいですね。





関山