SOCOのアートディレクション
こんにちは関山です。
SOCOのホームページや、ショップカード、店舗デザイン、写真のディレクション等々、お店のデザインに関わるものは大体僕がアートディレクションしています。
では「アートディレクション」とは何か?というと、「デザインを監督して最終着地点まで導く事」だと思っています。
ちょっと前に東京オリンピックのエムブレムで佐野研二郎さんが話題になりましたが、あの方の肩書きはアートディレクターです。
氏の本来の仕事は、デザインをゼロベースから作る人ではなく「デザインを監修してイケてる着地点に導く人」といった方が正しいのではないでしょうか。
高速に情報が消費される現代において、そういったスキルの方が要請されていると僕は思っています。
エムブレムは確かにゼロベースから作らなくてはいけない仕事だとは思いますが、現代において常にゼロベースからデザインを立ち上げるのは大変難しいでしょう。
それは「アート」であったり「服」であったり「音楽」でもそうです。
もちろん「ヘアデザイン」も。
本筋とは外れるので掘り下げませんが、今述べた事に関して椹木野衣「シュミレーショニズム」やボードリヤール「シミュラークルとシミュレーション」に詳しかったと思います。
★★★★★★★
さて、SOCOのアートディレクションにおいて意識しているのは
①「引き算」
②「完成されすぎていない」
です。
以下今までディレクション&デザインしたものの画像です。
まず①の「引き算」について。
シンプルなデザインにすることを心がけています。
なぜシンプルなデザインが好きかというと「想像力を制限しないから」です。
情報が多いと自分で想像したり考えたりする幅が制限されます。
僕は常に自分のアタマで考えたいと思っているし、解釈が制限されないことに対して自由で知的なイメージを抱いています。
フォーマットをシンプルに作り、コンテンツを色鮮やかにする。機能を増やしすぎるとイメージが固定されてしまう。
内装デザインであればハコはシンプルで使いやすければよくて、働くスタッフが個性豊かで鮮やかであるべきです。
ホームページデザインであれば、情報が見やすく写真が映え、乗せるコンテンツのイメージが限定されなければ良い。
だからSOCOの内装もホームページもデザインはシンプルです。
②の「完成されすぎていない」について
ヘアカタログやファッション写真には完璧に整備された美しい女性像のイメージが溢れています。普遍的に美しいイメージを上手に作れるサロンはたくさんあるので、我々が勝負するフィールドはそこには設定していません。
例えば美しいモデルさんが美しく写るのは当たり前です。そこを少しズラして「さほど美しくなく」写っている写真の方が魅力的だったりする。ぶっちゃけ少しブスに写ってくれた方がグッとくる。
だから撮影の時はあまり「はーい撮りますよー」的なアプローチはしません。
テキトーにパシャっと撮ります。
ただ構図に自覚的な写真を撮りたい時やテーマがある撮影の場合はロケハンや準備をしっかりやって構成を考えます。
モデルさんにもこういう写真が撮りたいんだという説明を入念にします。
逆にホットペッパービューティーのコンテンツに関しては「世の中のニーズが高くオシャレっぽいものを作る」ことを心がけています。
スタイルの詳細には今よく検索されているワードを多めに入れて構成し、アクセスが伸びる仕組みを作っています。
こちらに関しては広告としてしっかり機能してもらうことが重要だと思っています。
写真に関する知見は写真批評で掘り下げることができます。例えばロランバルト「明るい部屋」だったり。スーザンソンタグ「写真論」だったり。
★★★★★★★
最後に、マーケティングとアートディレクションの関係について。
日本は西洋に比べて文字情報の方が強いと言われています。
だから雑誌の表紙などは文字だらけです。
逆に西洋は写真の方が強い、と言われています。
ちょっと前に、映画「バードマン」日本版のポスターが酷いといった話題がありました。
上が日本版ポスターで、下が海外版です。
日本版は色々なものがくっついて情報がてんこ盛りです。
反対に海外のものは写真に焦点を当てすっきりしています。
下のデザインの方がオシャレで想像力をかきたてられますが、日本で興行成績が伸びるのは上のポスターなのです。
僕はもともと「オシャレでイケてるもの至上主義」だったのですが、知り合いのマーケターにボロクソに言われてから考えを改めました(笑
さらに実際に自分で事業をやるようになってから「いかに売るか」をとても意識するようになりました。
オシャレなだけでもダメだし、ごちゃごちゃしすぎててもダメ。
意識しているのは「売れるマーケティングをしながら、ブランディングもしっかりやる」ということです。
マーケティング重視で、売れるけどあっという間に飽きられるサロンになってはいけないと思っています。
逆にオシャレさを重視するあまり市場から取り残されるのもナンセンスです。
会社の方向性としては両方のバランスの摂れたアートディレクションをやっていきたいと思っています。(入り口広げつつとても凡庸な終わり方になりました)
関山