美容室独立開業 SOCO出店時の資金調達・物件契約と内装デザイン〜オープンまで。その1
こんにちは関山です。
HPのブログを開設したら独立開業までの道のりを書こうと思っていたのですが、ズルズルと書けずにここまできてしまい。。
通常の業務もかなり山積しているので、ざっくりしたカタチですが赤裸々に1話2話に分けて書きたいと思います。
美容室の開業を考えている方の参考になれば幸いです。
お店をオープンするにあたって、越えなければならない大きな壁として「物件探し」と「資金調達」があります。
僕の場合とにかく苦労したのは物件探し。難航しました。
初めの候補は中央線「中野」の物件。
街の再開発で大学が何校かでき、学生も多くサブカル色が強い濃厚な街です。
縁もゆかりもないこの場所を選んだのは街の魅力もあるのですが、とにかく面白い物件があったからです↓
こんな感じのどかーんとした広さの物件(55坪)で、マンションの一階部分。駐車場も付いていました。
こちら倉庫物件として貸し出しており、本来美容室としては想定していなかったそうで。(この物件が倉庫物件だったのでお店の名前はソーコとしました)
他に荻窪の候補もあり。
こちらもドーン(倉庫物件57坪)※老朽化が激しく見積もり出したら内装費がすごくかかりそうだったので断念。
僕は場所というより、面白いデザインのハコをつくりたかったので天井が高く広さのある物件を探していました。
原宿・渋谷界隈でこのサイズの物件だと家賃だけで月100万は軽く超えてしまうので諦め、中央線沿いで発見したというわけです。
中野の現場に行ってみると想像以上に広く、これだったら面白い内装が出来そうだな。とワクワクしました。
内装のイメージはこんな感じ↓
内装業者さんには現地調査で物件の実寸スケールを引いてもらって、僕がレイアウトとイメージをフォトショップで作るという共同作業で進めていました。
とにかく広かったので余裕で10面。頑張れば20面は置ける広さでした。
この物件をリノベーションしてお店を造ろうと思っていたのですが、障壁が、、
美容室を作るにあたって電圧が足りているか、給水・排水、ガスの設備が美容室の使用基準に達しているか。ということが非常に重要なのですが、この物件、水道とガスが通ってなかったのです。(もちろん美容室にすることを想定していなかったので当然ですが、、)
それらの設備は通常大家さんが負担して出してくれるのですが、結構お金がかかるんですね。数百万単位で。
で、初めは向こう持ちでインフラ投資してくれるということで話が進んでいたんですが、仮契約の段になってやはりやりたくない。と笑
その時点ではすでに公庫に一度面接に行って融資の仮内定もいただいていたので超あわてました。
お店を作るとなると、内装業者さん、不動産屋さん、機器メーカーさん、融資の担当の方等、諸々の進行を同時に進めていかなくてはいかないのですが、一気に振り出しに戻った感じです。
公庫の融資担当者の方からも「今回の融資内定は一度流し、物件が確定し契約を交わしたらもう一度来てください」と言われてしまいました。
関係各所にも相当迷惑をかけ、めちゃくちゃ落ち込んだのですが、とにかく流れてしまったものは仕方ないので気を取り直し早急に次の物件探しです。
中野は物件の魅力ありきで進めてきたので一度白紙にもどし、他に候補として元々長く働いていた原宿・渋谷圏内の物件を集中的に洗い出し。
渋谷、原宿、表参道、青山、代官山、下北沢など複数の物件を見に行きました。
※幻の表参道案件。契約直前まで行ったのですが契約金が僅かに足りなかったので諦め。。(自己資金500万に対して契約金550万。物件の契約金は借り入れでなく全て自己資金から賄わなくてはいけない。交渉したんですけどね)
で、物件探しでもう一つ重要な要素として、「大家さんがOKを出すか」というのもあるのです。
個人事業で新規開業の美容室や飲食なんかは、大家さんにとっては貸し出し相手としては最底辺にあたるんです。
オフィス使用と違って設備に大掛かりな工事も必要になってくるので開業前のトラブルも多い。
大家さんからすると「初めての開業だけどあんたやっていけるの?すぐ潰れたりしない?」と。
やはり大きい法人で実績があるところに貸したい。その方が契約もスムーズだし事故も少なく長く安定的に借りてくれる可能性が高いからです。
いくら融資が内定してお金の算段はつくといっても、大家さんがGOサインを出さないと契約できない。(というか物件の契約書がなければ融資がおりない)
だから事業計画書なんかをしっかり書いて公庫だけでなく大家さんにも提出するんです。これだけ売上予測があるのでやっていけます!と。
僕もこれはという物件が何個かあったのですが、人気物件だと他の強豪も契約申し込みをしているので、何件か選考で落とされました。
そんなこんなを乗り越えやっと契約にたどり着いたのが今の物件です。
今の物件はお店の上階に大家さんが住んでいて、前のテナントも美容室だったので理解もあり、設備的にも問題無し。なんとか契約まで持っていくことができました。
物件の契約書があればあとは公庫に融資の申し込みをしに行って融資内定が決定するのを祈るのみです。
しかし、契約段階で特約を付けられまして。まず預かり金として家賃の一ヶ月分を振り込んで「公庫の融資がおりなかった場合それは返却されない」という特約でした。
簡単に言うと「融資受けられなかったら迷惑料として預かり金没収ね」ということです。
そうなると何もしていないのに貯めてきた自己資金が家賃一ヶ月分という結構な額削られるということになります。
とにかく融資を通さなければお店を出すこと自体難しくなってしまうかもしれない。
契約事に関して経験値のない僕と違って相手は一枚も二枚も上手です。
「絶対負けられない戦いがそこにはある!」ということで普段着慣れないスーツを着てネクタイ締め2回目の公庫の融資担当者に会いに行きます。結構暑い日だったなー(遠い目)
一回目の面談で公庫に書類は提出しているのですが、全て書き直し。前回の内容に対して家賃だったりエリアの集客状況なんかをリライトした事業計画書を持って行きました。以前一度内定を頂いているのにもかかわらず物件が流れたことによって迷惑をかけたことを謝罪し、今度は確実に大丈夫です。と、物件の契約書も添えての面談でした。
あと、融資の時にポイントなのが、専任の税理士さんを付けて税理士経由で申し込むということ。
僕が申し込んだのが「中小企業経営力強化資金」という通常のものより利率が安い融資なのですが、確か通常の融資だと金利2.6%〜のところ、こちらの制度を使うと一番安くて1.4%〜1.7%くらい(設備投資資金、運転資金それぞれ適応利率が違う)
その分通常の借り入れより詳細な事業計画書が求められるので、何ページにもわたりパワーポイントで事業計画書を作成しました。
この時に一番お世話になったのが、大手美容機器メーカーのタカラベルモントさん。
新規開業の相談をしにタカラベルモントの代々木のショールームに行ったら、担当の方がとても親身になって開業についての指導をしてくださり。
その方の紹介で専任の税理士さんを付けていただきました。※独立開業を考えている方はまずタカラさんに相談に行くことをお勧めします。
担当の方に事業計画書も何度かプロの目で見て厳しくチェックしていただきました。
おかげで一番安い利率で借りることができ、さらに面接の時に公庫の担当の方から
「1750万での申し込みですが、2000万で申し込みませんか?」
と嬉しいお言葉もいただきました。
僕は即答で「はい!お願いします!」
面接の手応えから借り入れはできるだろうと思っていましたが面接後は結果の通知が来るまでジリジリとした日が続きましたね。
ジムとかに行って発散していました。
確か面接から一週間以内くらいで担当の方から電話があって
「融資が決定しました。書類を送付するので必要事項を記入して当行へご持参ください」
と、融資内定の連絡が来ました。
電話を切ったあと「っしゃ!」と声が出ました笑
これで諸条件が確定し、出店に向けて加速していくことができます。
後編へ続く。