「エロさ」とは何か。批評的に考えてみる。
こんにちは関山です。
【12月は毎日ブログを書く】
という目標を建てたので、今月は毎日頑張ります!
ブログでマネジメントやマーケティングの話ばかり書いてきたので、ビジネスの事ばかり考えている硬い人間と思われているかもしれませんが、元々はデザインやクリエイションをやりたいと思っていた人間です。
ということで今回は、業界のクリエイションに関する、多くの人にはめんどくさくどうでもいいと思われる話を書きたいと思います笑
最近YORK×Toyohide Kandaのイメージショット3パターンをHP「Work」にUPしました。
今回の作品は、僕の中で「光」×「エロ」×「ファッション」×「ヘア/メイク」のイメージ
上記のようなイメージ喚起を元に「エロさ」に対する批評的な考え方を、現代思想や現代アートの流れを元にざっくり紐解いてみたいと思います。
現代思想の流れには、古くは19世紀末ロシアの文豪「ドストエフスキー」や「ニーチェ」「サルトル」を代表とする哲学者の【人間とはなんたるか】を掘り下げる「実存主義」の流れがありました。
その後20世紀末には人間の情動を構造的に解析しようとする「ジャック・デリダ」「ジル・ドゥルーズ」「ミシェル・フーコー」を代表とするフランスの「構造主義」の思想がありました。
現代はポストモダン構造主義の流れを引き継ぎ、工学的に人間を理解することが重要になり、データを元にしたマーケティングやマネジメント。脳科学や量子力学、AI.が活況を帯び、グーグルやアマゾンをはじめとしたハイテク産業が世界を席巻しているわけです。
とはいえ「エロ」です。
時代は変われど、人間の本能は普遍的で。
「エロさ」に対する慕情は変わらない。
なぜならそれが人間の本能だからです。
映像を焼き付ける機能を持った「カメラ」が開発されて一番はじめに活況を帯びたのはヌード写真だという逸話が残っています。
VR(バーチャルリアリティ)が出て、AV業界はVRを使ったAV製作に注力しています。
今も昔も「エロさ」はイメージを増幅するための重要な要素として時代を超えて君臨しています。
「エロ」はアートなんかでもよく使われる手法です。
誰しも、過去に数回は美術館へ行った事があるかと思います。
大体どの展示にもヌード作品って一つや二つあったりしますよね。
村上隆は「芸術起業論」で、「エロ」「アニメ」「スーパーフラット」等。コンテキスト(内容)のレイヤー化という構造を打ち出し、欧米のアートマーケットでポジションを獲得した。と、総括してます。
【「アート」=「魂」みたいな文脈ってあるけど、そんなのどうでもよくてぶっちゃけすべてマーケティングの一環だ。「エロ」と「アート」の親和性が高いなら、コンテキストとして織り込んでマーケットで評価されよう】
というのが僕が解釈する「芸術企業論」における村上氏の論旨です。
なるほど。
村上氏の言説には個人的に共感するところがあり、彼の言説を踏まえSOCO/AO/SUNでは「なんとなく」ではなく「自覚的」にコンテキストを扱いたいと思っています。
「マーケティング」や「マネジメント」
もそうだし、
「ヘアデザイン」×「エロ」
なんかも同じ土俵です。
どれが上で下で。とか、イケててイケてなくて。とかもない。
世の中には美しさに対する様々な価値観があります。
コンサバ、モテ・愛され→等身大のイメージを好む人。
ジオメトリック、アシンメトリー、脱構造→アヴァンギャルドなイメージを好む人。
美しさの定義は人によってそれぞれ違い、価値の捉え方もそれぞれ違う。
僕としては価値観の違いを構造的に解釈し、同列で理解できるのであれば、優劣は無いし、極論どちらでも構わない。
さて、やや複雑になってきたので話を今回の撮影に戻しましょう。
YORKは自分が表現したい領域としてエロさを絡めた女性の美しさというものを自覚的に持っていて、それをヘアメイクのフィルターを通して具現化する。
フォトグラファーの神田豊秀さんは僕の思想を理解してくれていて(僕が髪を切り普段から話させていただいているのもあって)抽象的なイメージをコンテキストを絡めて昇華してくれる素晴らしいフォトグラファーだから毎回撮影をお願いしています。
我々は業界の
「可愛いなーおしゃれだなー」
とか
「すごいカットだなー」
みたいなのを構造的に理解したところで新しい価値を提案することを狙っています。
そういった目標に対して今回の撮影を絡めて言えば、無自覚の「エロ」ではなく、批評的かつ自覚的な「エロ」であれば、イメージを意図的にコントロールし独自のポジションを形成できるの可能性があるのではないか。と思っています。
相当雑に散らかした言説ですが、今回は僕が思うエロとクリエイションを絡めた批評的視点の話でした。
今回題材のYORK×KANDAの作品は『WORK』にアップされているのでぜひご覧ください!
関山