まったく結果を残せなかったSUN出店後から今〜自由自律型組織の強みとその限界〜
こんにちは関山です。
ゴメンなさいね。また長いタイトルをつけてしまって。
残念なことに本文はもっと長くてめんどくさいんですよ。
今僕はAO出勤なのですが、AOのスタッフルームには大量の張り紙が。
PDCAサイクル(honoka作)
PDCAサイクルは超重要。
P=Plan(計画)
D=Do(実行)
C=Check(評価)
A=Action(改善)
マネジメントやマーケティングにはこのようなフレームワークと呼ばれる雛形がたくさんあるわけですが、このPDCAは基本中の基本。
基本中の基本かつ、超重要。それなのになかなか実行できない。
ほとんどの人がP=Planを立てることはできてもD=Do実行に至らない。
実行に至ったとしても、C&A=継続改善しさらなる結果を出すまでに至らない。
よって結果が出ない。出し続けることができない。
ダイエットとか受験勉強を思い起こすとわかりやすい。
なかなか継続できないからみんな「それなり」のところで着地する。
僕がSOCO/AO/SUNで何か新しい試みを始める際にはPDCAに則って、しっかりしたプランを建てることからスタートするようにしています。
そしてプランを決めた後は、素早く・確実に実行する。徹底的に。
反面、実行過程であまり成果の出ない領域だと判断したものはすぐに止める。時間と成果のトレードオフを考える。
伸び代が高いと判断した領域は改善を続け、さらに大きな結果を求める。
【自由自律型組織の強みとその限界】
我々は個人に権限委譲する自由度の高い組織運営を目指してきた。
理由は単純で、自律型の文化を持った組織の方が強く・賢くなると思っているから。
基本的に人は自分のやりたいことをやるために仕事をする。
美容師なんかは特にそう。なりたくないけどイヤイヤ美容師になったという人はあまりいない。
髪も自由、服装も自由。
縛られたくない。自由でありたい。個人の判断で・価値観で仕事をしたいと思っている人が集まる職業。
仕事に「自由」を求めるから美容師を目指す。
もちろん、組織が自由を与えただけでどんどん結果が出るほど世の中甘くない。
自由に仕事をしたいのであれば、それ相応の能力とアプトプットが求められる。
我々が考える「自由と自律」の根本にはここにある。
自由を求めるのであれば、自律し、責任を果たさなければいけない。
去年の10月に3店舗目であるSUNを出店し、その後10月11月と全く結果を出せなかった。
なぜ出せなかったのか?
SUN出店後「3店舗目もできたし、そろそろ任せてフェードアウトしよう。むしろ会社のためにそうすべきだ」
ちょっとうまくいって調子に乗ったアホな経営者が思いつきそうな答えをひねり出し、僕は現場からのフェードアウトを進めてきた。
そして、前述のとおり、10月11月と全く結果を出せなかった。
3店舗目出店後、それまでの過去最高売上を更新するどころか、下がった。
自分の無能さのせいで会社の業績を伸ばせなかったことを猛省し、スタッフに「再び前線で指揮を取り、結果を出す」と宣言し現場に戻った。
幹部には現状を伝え謝罪。
同時に、僕の考える方針と違う運用に対して厳しく叱責し、実行できていない箇所を改善するよう求めた。
スタッフの裁量を奪い、すべての意思決定を自分のPDCAに基づく判断軸の中で運用してもらうように組織体制を改変した。
全権限を掌握し、トップダウンでマネジメントを進めた。
反対意見があっても思慮が浅いと判断したものに関してはすべて否定し、独断で押し切った。
「結果を出す」と宣言し、まず最初に行ったのは会社全体の「自由を奪う」こと。
「自由と自律」が我々の基本理念であるにも関わらず。
そして12月、1月、2月。全スタッフが頑張ってくれたおかげで結果は出た。
それも劇的に。
「自由自律型組織の強みとその限界」というサブタイトルを付けたが、自由自律型の組織が悪いわけではない。
そして限界などない。
世の中には自由闊達な企業文化を持ち、成功している会社はたくさんある。
単純に我々がまだ、そこまでの能力を持っていなかっただけ。
経営者である自分が無能だっただけだ。
今回の件で自由自律型組織の構築を諦めたわけではない。
本来、一人一人がPDCAをちゃんと回せれば管理する人間など必要ない。
管理者はビジョンを示し、旗振りだけすればいい。
【これからの時代の働き方】
先進的な企業の多くがリモートでの仕事や労働時間の裁量を個人に委ねるような運営体制に移行している。
インターネットがあるのだから、成果物を挙げ、結果を出せるのであれば場所や時間は関係ないという考え方。
その方が時代の流れに則している。
なぜ自由度の高い働き方が成立し得るのか?理由は単純明快。
場所や時間などの諸条件関係なく成果を挙げることのできるビジネスモデルやマネジメントがすでに構築されていて、高い能力を持ち、自律した人材ばかりで組織が構成されているから。
能力のある人材は、厳しい受験戦争を勝ち抜き、倍率の高い採用試験を通過し、一流企業に採用される。
そして会社に入った後も結果という厳しいセレクションを日々通過している。
そうしてようやく手に入れることができるのが「働き方の自由」だ。
もちろん美容室という業態でリモートで働くことは現実的に不可能。
場所の制約を受けない業態であるとか、会社の利益率など。諸々の諸条件があるが、これからの時代、働く環境としての理想は、時間/場所の制約があまりない、自由度の高い環境であることが重要な条件となることは間違いない。
【最後に】
長々と書いてきたが、結局のところ組織の未来に関わるのは「人」以外ない。
再び権限を現場に戻し、各店舗トップ、各個人に裁量を委ねて結果を出せる体制を再構築する。
人の能力を補強し、最大限発揮させるのが組織の役割。
自律した人材だけで組織を構成しなければ「自由」は成立しない。
ジャンポール・サルトルは「人は自由の刑に処されている」と記した。
(※彼の言葉は思想・哲学的な視座であり、仕事のやりがいなどに置き換えるような言説ではない。便宜的に引用。)
自由を手にしたいのであれば、個人は自分の責務を認識し、最大限遂行するよう自らを律しなければならない。
でなければ「自由」といえば聞こえは良いが「わがまま」「自己欺瞞」「自己都合」だけ闊歩するクソみたいな組織になる。
SOCO/AO/SUNではすでに自律型組織へと再編するための試みが始まっている。
仕事をより良くしていくためにはどうすべきか?
今より結果を残せる環境に変えていくためにはどうすべきか?
各店舗トップを中心に、スタッフ一人一人考える他ない。
考えたら実行すること。検証すること。PDCAを回し続けること。
自由を扱えないのであれば、自由は奪われる。
さて、我々は限界を超えられるだろうか。
関山