さて第4回


 


 


今回は4.【映像イメージ編】です。


 


 




 


 


【映像メディアの増加】


 


 


普段映像を見る機会は増える一方です、


 


かつてはTV(もしくは映画)が映像メディアの中心でしたが、現在は様々な媒体に移行しています。


 


Youtube


NetFlix


インスタグラム(ストーリーズ)


 


等々。


 


技術革新もあり、データ容量の大きい映像コンテンツにどこでも手軽にアクセスできるようになりました。


 


 








 


 


【ファッション文脈で参考になる映像】


 


 


そんな中で、今回は美容師がヘアデザインなどのイメージソースとして抑えておくべき映像について書いていきます。


今回は2つの属性について紹介します。


 


 


1.ファッション映像


2.映画


 


 


 


特に映画に比重を置いて書きたいと思います。


 


 






 


 


 


 


 


【ファッション映像】


 


 


僕が普段参考にしているファッション映像について多くの領域をカバーできるオススメのサイトが


 


SHOW STUDIOです。







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こちらイギリスのフォトグラファーニック・ナイトが主催している映像サイト。


 


前回の3.フォトイメージ編でも紹介しようと思ったのですが、ニック・ナイトは1990年代のファッションフォト文脈における最重要人物の1人です。



 


彼の実験的な写真はどこかで見たことがある人もいるかもしれません。


 


 


 


ヨウジ ヤマモト


アレキサンダーマックイーン


 


など、有名なファッションブランドと仕事をしてきました。





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ファッション文脈の実験的な映像を網羅したい方はSHOW STUDIOを参考にしてみてください。


 


 






 




 


 


【映画】


 


 


「映画」も、それぞれの年代において、ファッションと密接に結びつき、時代を作ってきました。


 


特に美容師だと、劇中に出てきた、ある女優の髪型であるとか、ファッションであるとか。


そういったものを参考として、ヘアデザインのイメージに変換する人も多いでしょう。


 


もちろん、ファッション視点での見方も重要なのですが、それだけだと浅いと言えます。


前回の〜ファッションフォト編〜でも書きましたが、映画を観る時には


ヘアやファッション的視点だけでなく「批評的」な視点で観ることもオススメします。


 









 


 


【美容師と映画。映画における批評的視点とは】


 


 


例えば美容師をやっていて、先輩から「50〜60年代のフランス映画の系譜を抑えておけ」


と言われたことがある人もいるかもしれません。


 


上記年代に活躍したフランスの映画監督や作品群、一連の流れを「ヌーヴェルヴァーグ」と呼びます。


 


ジャン=リュック・ゴダール


フランソワ・トリュフォー


ルイ・マル


 


など。


 


僕自身、アシスタント時代には「この文脈知らないとマジでダセーから」と言われて育ちました。


焦ってツタヤでビデオ借りて夜中観まくっていました。


 


 


でも普通に観ても結構退屈なんですよ。昔の映像だし。


仕事で疲れてるから何度観ても寝落ちして、1週間経ってしまって返却を繰り返すみたいな笑


 


ただ退屈だと思っていたものが、すごく面白く感じられるようになったきっかけがあります。


それは写真の時と同じように「批評の視点」を持ち込んでからです。


 


 







 


 


 


【映画評論界の重鎮《蓮實重彦》】


 


 


日本における映画批評の重鎮で蓮實重彦という方がいます。


 


蓮見氏はフランス文学者で東京大学の総長も務めた人です。


 


若かりし蓮見氏が、立教大学に勤務していた頃


「蓮見ゼミ」という映画表現論のゼミを持っていました。


 


当時蓮見ゼミで学んでいた学生で、後に映画監督となった人もいます。


 


黒沢清、青山真治、周防正行などです。


 


 


映画表現論なので、授業の中で蓮見氏は学生に映画を見せてレポートを書かせたそうです。


 


ほとんどの学生はレポートに


「物語の内容」や「出ていた役者」について書いてしまう。


 


そうすると、蓮見氏はめっちゃ怒るそうです。


 


 


「全然何も観ていない」


「そんなものが、この映画の、どこに映っていましたか?」と笑


 


 


 


例えば映画のワンシーンで偶然蝶々が写り込んでしまっていたとします。


その状況に気づくこと。




そういった視点で映画を観ることができるかどうかが重要である。と説く。


「映っているままに」物語を観ることで一度物語の細部を解体し理解すること。



 


例えば、予期せぬ状況というのはゴダール映画の中で非常に重要な要素として含まれています。


だから当時の映画界の中で新しい(前衛的・アヴァンギャルド)とされ、また、異端だと目されました。


 


先ほど述べたような蝶々が「偶然映ってしまっていた」場面のように


不可測なことがスクリーンに映し出される。


作品において「消臭されていない」と言いましょうか。


 


 


ヌーヴェルヴァーグと呼ばれる映画監督とその作品群において、前時代とどう違った表現手法で作品が撮られてきたのか。


それを知るためには映っているままに物語を理解することや、映画史を含めた歴史的理解が必要です。


 


批評的視点を持ち込むことによって、なぜその作品が社会に衝撃を与え、時代の中で重要な役割を形成してきたのかが理解できるようになってくる。


 


 


ただ単純に映像作品に対して。


 


面白かったなー


オシャレだなー


感動したなー


 


 


では凡百の視点と変わりません。


もちろんエンターテインメントとして楽しむ分にはその限りではありませんが、美容師として表現の糧としたいのであれば「批評的な観かた」で映像コンテンツと接する方が、より知性がある接し方と言えるでしょう。


 


 








 


【オススメ映画はありません】


 


 


最後に、流れとしては僕のオススメ映画を紹介して締めるのがベストかとは思います。


 


ですが、ぶっちゃけオススメ映画はありません。


 


今までそれなりの数の映画を観てきて「この作品が面白かった」とかの個人的感想はあります。


しかしオススメはしません。



なぜオススメがないかというと、こういったことを書くと


あまり人が知らないようなコンテンツを紹介するサブカルマウント大会になりがちだからです。


 


「みんなが知らないコンテンツ知ってるオレカッケー」みたいな。


 


 


 


個人的に世の中に「くだらないもの」はないと思っています。


 


例えば人に「この映画つまらないから見る価値ないよ」


と言われたとします。


もしかしたらその通りなのかもしれません。


 


しかし、批評的視点で接することができれば、全てにおいてくだらないものなど無くなります。


 


名作とされる映画を観ても


ホラー映画を観ても


クレヨンしんちゃんの映画を観ても


 


何らかの学びを得ることはできるかもしれません。


 


 


批評とは自分がくだらないと感じたものを、一刀両断に切り捨てる行為ではありません。


「よく考えてみる」という行為です。


 


多くの人が「くだらない」と感じても、自分が「素晴らしい」と思うのであればブラボーを叫べばいい。


 


同調圧力から解放され、自らの意見を表明するためには、己のの中にしっかりとした考えを持っておく必要があります。


 


 


作品の内容や雰囲気だけで捉えると視野が狭くなります。


別の見方でみてみること。考えてみること。



商業的にナゼ成功しているのか?であるとか。


全時代の表現手法と何が違うのか?であるとか。


ホラー映画であればナゼ恐ろしいと感じるのか?であるとか。 




多角的に捉えることができるのであれば、批評的視点でコンテンツと接する扉は開いてくるでしょう。


 


 


 



 


 


 


 


【まとめ】


 


 


以上、映像イメージについて書いていきました。


 


スミマセン。映像イメージソースとしては文字中心で、具体的に参考になるソースはあまり提示できなかったかもしれません。


 


今回僕が伝えたかったのは、周りに影響されて作品の良し悪しを判断するのではなく


独自の視点でコンテンツと接するべきである。ということ。


 



 真偽は自分の中に持つ。


意思決定は自分で行う。


そのために「よく」考えてみる。



さもなくば、誰かに影響され続けるだけの人生となります。


「コントロールされる」のではなく「コントロールする」側になること。


自分の考えを明確にするためには批評的視座が必要です。


 


 


 


以上4.【映像イメージ】でした。


 


 


次はラスト5.【批評・美術史】について書いていきます。





関山





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