SOCO5周年~5年間何を考え経営してきたか~
こんにちは関山です。
久しぶりのブログ。
2020年9月6日。早いもので、SOCOをオープンしてから5年が経ちました。
5年間お店を続けることができたのは、ご支持くださるお客様と、スタッフみんなのおかげです。
最初4人でオープンし、今では38名、4店舗。
あの時は5年後にこんなことになってるなんて想像できなかったなぁ。。
5周年記念。
僕が何を考え今までお店を経営してきたか。
5年という区切りとともに、自分の心情を少しだけ書こうと思う。
【何者でもない】
5年前、僕は業界で有名なわけでも、売上がたくさんあって独立したわけでもなかった。
星の数ほどいる美容師の中の1人。
そんな中途半端な状態で独立したので、当然オープン当初は大赤字。
1ヶ月目から「このままでは半年もたないかもしれない」という残念な船出となった。
朝から晩までヒマなので、やれることといえば、ブログ書いたり、モデハン行ったり。
状況が状況だけに、スタッフの不安は募り、不安な感情もヒシヒシと伝わるから自分も辛かった。
現実を前にしても、なぜか「結果を出せる」というナゾの自信だけはあった。
いや、惨状を直視しないように、根拠ない自信で不安を覆い隠していただけ、といった方が正しいかもしれない。
経験なし、実績なし、お金なし。お客様は来てくれない。
「どうやったらここから抜け出せるのか?」
答えは簡単ではない。毎日毎日、たくさん考えた。
やれることをコツコツやり、新しくやるべきことがあれば取り組み、機会があれば貪欲にモノにしようとした。
どうすれば結果が出るだろうか?日々そればかりを考え、実行し、一生懸命働いた。
何者でもないからなんでもやれた。いや、やる以外選択肢がなかった。
当時手元にあった唯一のカードは「可能性」だけだ。
気づきと改善、仮説と実行。根気よく分析と行動を繰り返すことで売上は伸び、やがて最悪な状況から脱することができた。
おおよそオープンから半年くらい経った頃だ。
重い鉄の車輪が徐々に回り出す。
小さな成功体験を積み重ね、ある程度結果が出るようになってからは、すべてが噛み合うように早かった。
車輪の回転は勢いがつくとどんどん速くなる。
その勢いに乗せて人事・出店・マーケティング。利益のほとんどを会社の成長に繋がるリソースに注ぎ込んだ。
結果、売上は加速度的に伸び、スタッフの数も増えた。
もちろん全てが順風満帆にいったわけではない。
当然ながら、会社を経営するうえで人並みに辛い目にもあってきた。
真夏にスーツを着て銀行に頭を下げに行ったこともあったし、
攻めた出店でキャッシュショートを起こしそうになり「来月売上を伸ばせないと会社は潰れる」という場面もあった。
「社長を出せ」的なクレーム案件で、他人の屈折した感情の矢面に立たされたこともあったし、
コロナショックで売上が全く立たず、もうムリなんじゃないかと覚悟もした。
どうすることもできない現実や、理不尽な悪意と対峙し、気が滅入った。
その度に眠れない夜を過ごした。
窮地についての本質は誰にも相談できない。
でも、スタッフがいたから絶望したりはしなかった。
真っ暗な天井を見上げながら、一人、ずっと考えた。
【社長の器】
お店は大きくなり、いつしか「お店」から「会社」的な感じになっていった。
たぶん20人を超えたあたりだろうか。
会社のトップは「社長」である。
通常、社長には正しい人格やモラル、強いリーダーシップが求められる。
残念ながら僕は何一つ持ち合わせていなかった。
あまり人と絡まず、自分の世界でコツコツやることが好きな人間だ。
そんな人間がトップに向いているはずがない。
当初、3年で2店舗くらいになっていればいいかな。というくらいで考えていた。
でも、想像以上のスピードでSOCOは成長した。
自分で会社を起こしたので、当然自分が社長である。
「誠実で正しい人間」「リーダーシップある強いトップ」「みんなに頼られる存在」
社長たるべく自分の人格を設定し、もしくは環境によって勝手に設定されていった。
ミーティングでは強い言葉とビジョンで全体を鼓舞し、率いた。
自信がなくても「必ず達成できる」と大言を吐き、経営的に苦しくても感情を表に出してはならない。
自分ができていないことでも相手を諭し、結果に変える責任がある。
会社が大きくなるにつれ、本来の人格と会社トップとしての人格は乖離していった。
それが最も苦しかった。たぶん前述した資金繰りやクレーム案件以上に。
相反する人間性と感情を抱えつつ、己の能力以上に会社はさらに大きくなった。
会社を伸ばせたのは、創業時からのメンバーであるyork、ハル、菅原、カナ、それに続く優秀なスタッフが側にいてくれたから。
ただ、会社トップとしての自分の能力を考えたときに、なぜ結果を出せたのか?という純粋な疑問と、人間性の至らなさに対する暗澹たる気持ちは常に心の奥底にあった。
ネガティブな気持ちは日々酒で流した。
当然ながら、人格は簡単に変えられないし、そんなことを考えても仕方ない。
本来の自分と、そうではない自分との隣合わせの中、どうにかやってきた。
今では陰と陽、2つの相反する価値観を抱える人間だったからそれなりに結果を出せたのかもしれない。
そう前向きに考えるようにしている。
【2つの世界観・価値観】
大した能力も無く、トップとして適任でない自分が、どうにか人並み以上になれないか。そう思ってやってきたこと。
もしそれが一つだけあるとしたら、相対的な2つの視点で物事を考えてきたことだ。
真面目であること、不真面目であること。
感情を表に出すこと、出さないこと。
世の道理と不条理、常識と非常識。
モラルとアンモラル、光と影。
世に流れる普遍的な価値観を理解しつつ、世間の価値基準とは違った視点で物事を捉えたいと願った。
他と違うスピードで成長できたのは、抽象性や矛盾を受け入れることを会社のコアとして据えてきたからかもしれない。
強さも弱さも、人はいろんな側面を持っている。あえてそれを矯正しなかった。
だから「自由と自律」という言葉を会社理念とした。
過去の事例や道理から学ぶことは重要だが、もっと重要なのは「どう生きたいか」ではないか。
人生1度きりなのだから、己の信じることに従って生きればいい。何かに縛られて生き方を定義する必要などない。
【5年という歳月】
話が長くなった。そろそろ終わりにしよう。
もし仮にこの5年をやり直せるならやり直したいか?
そう問われたら、おそらく「やり直したい」と答えるだろう。
5年間、やり切ってきた自負はある。
でも、常に後悔しながら走り続けてもきた。
「あのときこうすればよかった」「ああすればよかった」
いつも迷ったり悩んだりしている。
すごく未練たらしく、男らしくない考えかもしれない。
そこには自分を認めて楽になりたいという願望と共に、さらなる可能性を求め続ける焦燥がある。
もちろん、現実世界において時間を戻すことはできないので、今を生きるしかない。
過去に学びつつ、また次に向かう。
5年という歳月が長いのか、短いのか。正直僕にはわからない。
5年後にはどうなっているだろうか?
今とは違う地平を見ていたい。
最後に。
取り止めもなくつらつらと書いてしまった。
具体的な経営の話を書こうと思って書き始めたが、どうでもいい自分語りになってしまった。申し訳ない。
札幌に向かう空港でこの文章を書いている。
5年前には想像もできなかった。
お客様、今いるスタッフ、辞めたスタッフ。SOCOを創ったことで出会った人たち。
たくさんの人との繋がりで、この会社は成長した。
いつ消えてもおかしくないところからスタートし、幸運なことに今も存在している。
「何者でもないことは可能性であり強さである」
これからもそうやって考え続けられるだろうか?
会社が成長し、スタッフが増えた今も、想いは5年前のあの頃と変わらない。
関わってくれたすべての人たちに心から感謝。
関山