こんにちは関山です。


本日から全店営業スタートとなりました。


初日からたくさんのご予約ありがとうございます!


2022年もスタッフ一丸となり勢いをもって進んで行ければと思っております。


今年も1年よろしくお願いいたします。



さて、正月の堕落した生活を一通り終え、ようやく人間らしい日常に戻ってきました。


「我々の事業は何か?何になるべきか?」


新年早々、めんどくさそうなタイトルを立ててしまいましたが、正月はこのことについて考えていました。(暇だったので、考えたりブログ書くしかやることなかったんですよね)


 


今回は我々の事業は何か?これについて年始に考えていたことを書いてみたいと思います。



「我々の事業はなにか?」


「美容室じゃん」



そらそうです。


でも、その通りであって、そう単純ではない。


先に謝っておきますが、今回はタイトルの通り硬めのブログです。


そして特段参考となる答えも提示されません。ごめんなさい。


めんどくさい文章が苦手な方、鼻につくという方はここでそっ閉じください。


 


では、文体を変えて書き進めていきます。




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【マーケティングとイノベーション】 


 


2021年初頭から店舗ごとのセグメント・ペルソナ設定及びマーケティングを進めてきた。


代官山SOCOは「大人女性」表参道AOは「メンズ」渋谷SUNは「ハイトーン」札幌ACAは「メンズ・パーマ」


セグメントに分けてそれぞれ打ち出す設定を定義し直した。


なぜこのような縦割りをしていったかというと、現在のヘアサロン市場で結果を出すための方法として、セグメント・ペルソナ設定は避けては通れないという予測があったからだ。


情報が大量に消費され続けていった結果、顧客は包括的かつ抽象的なブランドにはもう反応しない。さらにはプライスが安いだけでは見向きもしない。


であるから、弊社の今年の目標は


「セグメント・ペルソナを明確化し、各属性におけるマーケティングとブランディングのエリアトップを目指す」


これ一択とした。


 


今後大きく結果を出すために必要な条件は2つ。マーケティングとイノベーションである。


まずは段階を分けて進めていきたいと考えている。


第一フェーズがマーケティングで、第二フェーズがイノベーション。


現時点は第一フェーズである。マーケティングによる新規顧客獲得に力を入れて昨対同月比で10%〜20%の売上上昇を継続的に狙う。


まずは売上を上昇基調に乗せることでスタッフの基礎的なモチベーション維持する。そして、それ以上の成長性を見込めるのであれば早期の出店計画が必要となる。


マーケティングと販売は違う。販売は「自分たちが売りたいものを売る」ことであるが、マーケティングは「顧客が買いたいものを提示する」ことを指す。


マーケティングの理想は販売を不要とすることである。


自分たちのサービスが自ら販売活動を行わずともおのずと購買に結びつくように設計する。


それはプライスであったり、技術であったり、ポータルサイトの作り込みであったり、SNSでの発信であるかもしれない。


様々な要素がある中でも現時点で特に有効であるのが「セグメント・ペルソナの明確化」だと考え推し進めている。


それら複合体をチューニングし世に問うことに我々が狙うマーケティングの本体があって、イノベーションやブランディングの一端も内包される。


一方で、「自分たちが売りたいものを売るのではない」ということは、本来やりたいことを理性的に押しとどめてマーケットに対し己の価値観を合わせていくということでもある。


ここにイノベーションの源泉はないように思う。人の想像力を阻害しているからだ。


とはいえ、マーケティングは会社を成長させるための最も重要なファクトの一つなので、左脳上では戦略的にマーケットインさせ、右脳上ではイノベーティブなことを考えていくべきである。


 


マーケティングを機能させ、売上上昇の下地作りが滞りなく行えるようになった先にイノベーションのテコ入れを行う。


ただし(これが一番難しいところなのだが)業界におけるイノベーションの源泉というのは枯渇しつつあるように思う。


各種ポータルサイトを除けば、基本的にSNSを使った情報発信及び集客がイノベーションであると見られている向きがある。


だが、そのどれもが似通っている。ヘアスタイルを継続的にアップして、それらしいハッシュタグで埋めるのオンパレードで、ほとんど差別化できていない。「やらないよりやった方がマシ」という様相である。


それらコンテンツの質を上昇させることがイノベーションに結びつくような気もするが、それも誤りである。


今ではどこも上手いし、下手なところを探す方が難しい。いわば平準化している。


コンテンツの質を上げることは、現時点においてイノベーションどころか単なる努力目標にすぎない。


イノベーションとはもっとドラスティックな価値変化を伴う事業領域の変革のことを指す。


今後イノベーティブな方法としてSNSを使ったブランディングなのか、youtube、tiktokなど動画形態の情報発信であるのか、メタバースのような仮想空間にあるのか。はたまたそれ以外の全然別のものなのか。正直全然わからない。


ここが大いに頭を悩ませる課題であり、年初にずっと考えていたことである。


わかっていることは、わからないなりに次を検討しなくてはいけないということだけだ。


  




【我々の事業は何か?】 



さて、ここからが「我々の事業はなにか?何になるべきか?」の本題となる。


 


有名な話で1930年頃、恐慌のアメリカで倒産寸前にあった米自動車メーカーキャデラックが「我々の競争相手はダイヤモンドやミンクのコートだ。顧客が購入するのは、輸送手段ではなくステータスだ」と言って、わずか2、3年で経営を立て直した逸話がある。


単純な話だ。車=移動手段、という価値観を、車=ステータス。というように置き換えた。


現代では当たり前の価値観であると言えるが、当時はそうではなかった。


そして、普遍的ではない価値観の中に潜在的な欲求を見出したからこそ、キャデラックは劇的に復活することができた。


「金持ちであること」を所有物でアピールしたい人はメルセデスに乗るしポルシェに乗るしランボルギーニに乗る。そこには自己顕示欲があり、ステータスがあり、富裕層のニーズが存在する。


1930年当時(かつ恐慌時に!)この命題を思いつき実際に結果に結びつけたことは明らかにイノベーティブである。


この逸話にはアップル製品にも似通った性質を見出すことができる。


アップル製品の一つ一つが機能的な電化製品ではなく、ファッショナブルなアイテムを所有するようなステータスやスマートなイメージを内包している。


ステータスを担保するのは研ぎ澄まされた美しいデザインと操作性だ。それは梱包する箱にすらアイデンティティとして現れている。


これは当時家電業界を席巻していた日本のメーカーが見落としていた視点であった。


日本の家電メーカーはこぞって機能至上主義に囚われていた。結果、多くが淘汰された。


 


キャデラック、アップル。この2社の事例には類似した点があり、我々の業界でも参考にすべき要素が多分にあると思う。


ただし、美容室が扱っているのは髪という変化するマテリアルであり、工業製品とは違う。


さらに突き詰めると、扱っている商品は髪ですらない。そこで働く「人」である。


俗人性が高い。というか、俗人性しかない。規格化・統一化できない。


規格統一できないところにプロダクトのコントロールは難しい。人は工業製品ではない。ハートだ。心を動かせるかどうか?それこそが重要である。


俗人的要素が強いこと。これが業界におけるイノベーションの難易度を高くしている要因である。


髪や人の規格化・統一化が難しいのであれば、別の方法論を考えてみたい。さしあたり隣接した領域で考えられるものといえば「教育」だ。


美容室というのは髪をデザインする場であると同時に、接客や技術を教える教育機関でもある。


技術伝承を繰り返し、提供する技術やサービスの質をアップデートしてきた。


もしかしたら「教育」という視点で考えてみた時にドラスティックなイノベーションを起こせる可能性があるのかもしれない。(現にオンラインサロンなどが盛況を博している)


一時期そう考え、スタイリストになるまでの期間を合理化・短縮し、多様性の旗振りの元、様々な人材を輩出できるような仕組みを構築した。


それはそれで業界内での見られ方において、または人材獲得の観点から成果を残してきたが、現在ではこのような施策も当たり前のようになっている感がある。


 


先述したが、現在我々の業界における差別化要素というのは概ね枯渇しているように思う。いや、業界の構造上、以前からそうであったという方が正しいのかもしれない。


時おりわずかに開く細かいイノベーションらしき隙間を狙って業界全体がなだれ込む。結果、あっという間に隙間は閉じる。そして閉じるまでの時間軸は年々短くなっている。


強者としての大企業が存在せず、数多の中小規模の美容室がそれなりに存続することができてしまうが故、ドラスティックな変革が起こらない。


小規模かつ多種多様な美容室が存続可能であるということは、多様性や競争原理という観点においては健全だと思うが、逆説的にそれなりに生きながらえてしまうが故、激しい競争に晒されていないということでもある。


結果として生き残るための大きなイノベーションも起きにくい。これは自然界の生態系も同じだ。


そうなると、規模の最適解を見定めたうえで、事業の属性に合わせて業界内におけるミニマルな天井を目指していくというのが差し当たり生き残りのための重要な立ち回りとなる。



 


【最後に】


 


長々と書き連ねてきたが、去年末から推し進めてきた自社におけるマーケティングの方法論というのは現在確立しつつあり、成果も出てきている。


一方で、イノベーティブなことをやるにあたって何が正解か?というのは現時点では掴めていない。


ヘアデザイン、コンテンツ、写真、内装デザイン、グラフィッデザイン、教育改革。


以前は「これは出し抜けそうだ」という視点があった。だが今は思いつかない。


それら全て、時間と共に共有され、模倣され、消費されていった。


今後先にあるのはイノベーションではなくコンテンツの質を上げるような努力目標だけになってしまうのだろうか?


 現時点ではわからない。だが、これからも考え続けてみたい。


タイトルである「我々の事業は何か?何になるべきか?」これは哲学的な性質を持った命題である。


今後1、2ヶ月の間にこれらを明確にして提示できるようにするために考えなくてはならない。同時にとても難しい命題だ。


やるべきことが見えかけているのに掴みきれないもどかしさ。過去にもこういったことを幾度も経験してきた。


本ブログで書いてきたことも、掴みきれない抽象的な領域をこねくりまわし、さしあたり論理立てることを通じて思考を一旦整理するためのものである。


故に冒頭でお伝えした通り答えはない。


 


 


さて、今年も頑張りますか。


 


 


関山